高知県の地鶏「土佐ジロー」専門店

はたやま夢楽
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土佐ジローの長いお話

土佐ジローは一代種の地鶏です。

父は、天然記念物の土佐地鶏。
母は、在来種のロードアイランドレッド。

父「土佐地鶏」の「とさぢ」と母「ロード」の「ろー」の
頭文字から、「土佐ジロー」と名付けられました。

土佐地鶏は、天然記念物で食べることができません。
このため、ロードを掛け合わせることで食用可としています。

秋田県の比内地鶏も比内鶏とロードを掛け合わせていますし
日本の赤玉系の卵には、ロードの系統がよく用いられています。

土佐地鶏は、鶏の原種鶏とも呼び声の高い
「赤色夜鶏(セキショクヤケイ)」に近い地鶏と言われています。

かなり小柄で、跳躍能力に長けており
産卵数は年にごくわずか…

産業養鶏には、まず向かない鶏です。

「でも、土佐地鶏は美味しかったよね」

という声から始まり
土佐地鶏×ロードアイランドレッド
にいたりました。


ロードと掛け合わせたことで
産卵率が高まり、個体が大きくなることで、
卵も土佐地鶏よりは、大きくなる。

このことで、
「高齢者の生きがい対策に」
「中山間地の庭先農業に」
と、誕生したのが
土佐ジローです。

高知県が商標登録をしているので
高知県内の認定農家が飼育したものだけが
【土佐ジロー】として販売ができます。

はたやま夢楽も認定農家の一つです。

はたやま夢楽が特異なのは
他の認定農家さんは卵を主に扱われているのに対して
はたやま夢楽、雄の若鳥を肉用として扱っていることです。

高知県内で70軒くらいの認定農家がありますが
肉用として主に生産加工販売しているのは
はたやま夢楽だけになります。

*卵を産み終えた親鳥(廃鶏・熟鶏)の販売は
 他の認定農家さんも行っています。

はたやま夢楽の土佐ジロー♂

高知県畜産試験場で
土佐地鶏とロードアイランドレッドが交配して
種卵(しゅらん)を作ります。

合同会社土佐あぐりーどさんが
種卵から孵化をさせて、雛が生まれます。

生後0日で、雌雄鑑別された土佐ジローの雄を
はたやま夢楽へ運び、飼育が始まります。

雌雄鑑別された雌と雄が
専門の肥育農家さんで1か月ほど飼育され
県内各地の土佐ジロー農家へ販売されます。

採卵用には、有精卵として育てるため
20羽が雌、1羽が雄の割合で飼育することが
高知県土佐ジロー協会のマニュアルで定められているため
採卵用は雌雄同居となります。

↑これは、採卵用の鶏舎。
緑の葉物に寄ってくるのは雌が多く
雄は雌ほど好まないので奥の方に雄がいます。

はたやま夢楽では、
お肉用には、雄だけを飼育しています。

生後0日で雄たちが、はたやま夢楽へやって来ます。

加温した(親鳥の体温に近い温度)小屋の中に
丸くサークルを作って、角をつくらないようにし
はたやま夢楽での暮らしが始まります。

数十gのヒヨコたちは
ピヨピヨと鳴く声もまだまだか細く
可愛らしいです。

2週間ほど経つと
すでに跳躍能力を発揮していきます。


止まり木を設けて、飛ぶだけでなく
木の上で休む、性質も開花させていきます。

1か月ほど、加温した小屋の中で過ごし
体力が備わってくると、外の育雛小屋へ移ります。

土佐ジローの鶏舎の工夫

土のある遊び場と
階段状の止まり木のある板の間の小屋の
2つを自由に往来できるようになっています。

土浴びの大好きな地鶏の性質を引き継いでいるので
土の上で遊んだり、穴を掘ってその中に埋まってみたり。

お腹が空いたらご飯を食べて
喉が渇けば、畑山の水を飲み、
時には喧嘩をしながら、仲間とじゃれあい
大きくなっていきます。


夕暮れが近づくと
止まり木の上に勢ぞろいしていきます。

自由に遊ばせると
数mは高く飛び上がり
滑空すれば数十mも飛べる土佐ジローたち。

自由にさせ過ぎると
今の日本人の歯では噛み切れないほど固くなるため
程よい固さを生み出すよう
広すぎない鶏舎で飼育しています。

1㎡10羽以下が地鶏の定義とされていますが
土佐ジロー協会の定めでは4羽以下になっています。

そして、はたやま夢楽では
止まり木を設置することで
立体的にスペースを使うため
1羽あたりの有効面積は広くなっています。

というのも、セイイチさんが飼育を始めたころは
だだっぴろい鶏舎でスタートしました。

「地鶏と言えば!」みたいな思い込みから…

栽培していたシシトウのハウスを
鶏舎に変えて飼育がスタートしたので
ハウスの中をそのまま土佐ジローたちが駆け回っていました。

一般的な肉用の鶏は、おっとりしていて
のしのし歩くので、広い鶏舎での飼育が可能です。

*日本の肉用の飼育鶏舎は、基本的に「平飼い」です。

鶏は、臆病なので、あまり広いところで飼っていても
空を飛ぶ鳥におびえて、一か所に集まってしまったり
飛び回ってしまったり…

運動し過ぎると、お肉用として育てるには
十分すぎるほど固くなりますし
鶏のストレスもたまっていきます。

*屋内での平飼いだと、空飛ぶ獣に怯えることはないですが
 空が見える土佐ジローの鶏舎だと…

そこで、鶏舎の中を幾重にも区切っていくようになりました。

最初は、3か所に、それでも、広い…
また、区切りを増やしていく…

そんな大工工事を繰り返すこと10年。

土佐ジローが安心して過ごせる空間を造りだすことができ
今のはたやま夢楽の鳥小屋の原型が誕生しました。

1小屋には50羽程度の土佐ジローたち。

土の上の遊び場と、止まり木を設置した屋根付きの部屋とが
一つになった小屋がずらっと並んでいます。

外から見ると一つの鶏舎ですが
中はいくつにも分かれています。

遊び場から見た小屋の内側。

水は、畑山の水を自由に飲める環境になっています。
エサも、日齢に応じて配合を変えています。

目線があうと喧嘩になるので
鶏の体長の高さは、視界を遮りつつ
それより高いところは風が通るようにネットで区切っています。

止まり木の効果

時には、喧嘩もする土佐ジローたち。

でも、聴いたことありませんか?

「鶏は散歩歩くと、忘れる」って。

止まり木を設置していることで
喧嘩をしていても、視界から消えると
喧嘩をしていたこともコロッと忘れます。

止まり木には、5つの効果があります。

・視界(目線)を変えることで喧嘩を長引かせない
・ご飯を食べたあと、動き回らずに、休ませる
・↑を繰り返すことで、大人しい性格になっていく
・事故死の確立を下げる(圧死など)
・鶏糞を踏み固めずに掃除できる

 

土佐ジローは一代種なので
お父さんに似ると小さくなり
お母さんに似ると大きくなります。

そんな、もともと個体差のある土佐ジローを
平飼いで、自由に育てていると
エサをたくさん食べる子もいれば
エサの中でも選り好みする子も出てきます。

均一性が求められる養鶏業界ですが
はたやま夢楽のモットーは
「鶏を鶏らしく育てる」。

こうした個体差も含めて、土佐ジローだと考えています。

そして、
大きく育ったから美味しいというわけでもなく
骨太で肉付きはイマイチ、というジローもいます。

逆に小さいけれど、
体のバランスが整っているジローもいます。

「脂ののったジローを」
と、求める人もいらっしゃいますが
土佐ジローを太らせることを目的には飼育をしていません。

「白肝を」と、求められる方もいらっしゃいますが
太らせるための飼育をしているわけではないので
レバーが白くなる脂肪肝の
土佐ジローの内臓が出てくると
はたやま夢楽としては、面白くありません。

太らせるためのエサを与えると砂を食べる

土佐ジローは土の上での平飼いをしています。

これは経験によるところが大きくなっています。

今は、はたやま夢楽で育てた土佐ジローのみ
食鳥処理・食肉加工をしていますが
以前は、ほかの農家が育てた土佐ジローを
頼まれてさばくこともありました。

その時、いつも持ってきていた土佐ジローと
違う肉質のものをさばくことになりました。

脂っぽくて、さばいている間にもぬめぬめして
1羽さばくごとに包丁を
洗剤で入念に洗わなければならない事態となりました。

はたやま夢楽に来ている土佐ジローと同じはず。
なにが違うのか、と飼い主に確認すると
「周りからのクレームで、外に出して飼えなくなってしまった」
「土の上で遊ばせられず、小屋の中だけで飼育していた」
とのこと。

土の上で飼育することの重要性を確認した出来事でした。

鶏は、砂肝という臓器があります。

歯の無い鶏は、土と穀物などを一緒についばみ
胃袋である砂肝に送り、
砂肝の中で、土とともにすりつぶして
体内に取り込んでいきます。

「石の成分が細かくなって、体を巡ることで
 脂の質が変わり、免疫力や治癒力まで変わるんじゃないか」

セイイチさんは、こう思うようになっていきました。

その後も、太らせようと思って
高カロリーなエサを与えてみたことがありましたが
さばいてみた砂肝の中には、エサは少なく
土ばかりが出てきました。

”セイイチがくれるエサは体によくないから、土で調整しよう”
そう土佐ジローが語ったかは分かりませんが
少なくとも、セイイチさんが太らせようと思った
高カロリーなエサは受け付けてもらえませんでした。

「俺が太らせようと思っても、ジローは俺の都合には合わせてくれない」

そして、その後も観察を続け、こう思うようになっていきました。

「獣に襲われないために夜、高い木の上で寝る鶏が
 土を食べることで体臭を消しているのかもしれない」

飛ぶために体重を落とさなければならない鶏が
臓器の中では比較的重たい砂肝を残してきたのは
こういう理由があったんじゃないか、と思うようになりました。

鶏を鶏らしく育てる。

土佐ジローの本能を発揮させる飼育法を
非効率ではありますが、今も続けています。

ジローの個体差

土佐ジローは、こうした野生に近い地鶏です。
その地鶏に近い土佐ジローを
土の上での平飼いで育てているため
個体差は大きくなります。

先述したように
父の土佐地鶏に似た子は小さくなり
母のロードに似た子は大きくなります。

通常、出荷する150日令くらいだと
1.5㎏くらいがスタンダードの土佐ジロー。

一方で、1.2㎏くらいのもいれば、1.8㎏くらいのもいます。

正肉(もも、むね、ささみ、皮)だと400g~700gくらい。
出荷する基準は、500g~650gくらいです。

小さいから美味しくないか、というと
美味しい、です。

大きいから美味しくないか、というと
美味しい、です。

ただ、形であったり、脂の質であったり
いろんな違いがあります。

ただ、毎日のように土佐ジローを見て食べていると
見た目だけで、どんな加減で焼けば良いかというのは
分かってきます。

見た目は、いろいろですが
ちょっと大きすぎたり、
小さすぎたりしたのを
家で食べることもあります。


炭火で焼いて食べていると
セイイチさんが
「ジローはうまい」とうなり始めるのが
小松家の定番の夜の更け方です。

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