高知県の地鶏「土佐ジロー」専門店

はたやま夢楽
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奥山に生きる 5

勝手に連載も5回目を迎えました。
今回は、私の暮らしの相棒「無線」について書きました。

畑山と市街地の距離二十キロ。
未だ携帯電話が繋がらないエリアが広がる。
往来の途中、落石を踏んでパンクし、
雨の中、電波の繋がる所まで数キロ歩いたこともある。
夜遅く、恐怖を感じながら家路を急いだこともある。

今は不安や恐怖から解放された。
アマチュア無線で夫と話しながら帰路に着くから。
万が一パンクしても、迎えに来てもらえる。
夜道を楽しむ余裕すらある。
シカやウサギが跳ね、タヌキがころころと走りゆく。
動物たちの運動会に加わった気分を味わう。

西日本豪雨で連絡手段が途絶えたことを機に、
夫たちはしばらく放棄していた無線資格を再取得。
私も遅れて受講して有資格者となった。
それぞれの車と事務所、ジローのおうちに無線機を設置した。

「ジローのおうちを下り」「滝の下を上り」 「おはようございます。本日もよろしくお願いします」

畑山出身者や土木 ・林業従事者と繋がる周波数に合わせ呼び掛ける。
互いに現在地と進行方向を教え合う。
数百メートルごとの地名や、
道幅が狭い場所、待避場所を皆が覚えている。
どこでどんな車とすれ違ったかなど無線で得た情報を基に、
自分と他の車の位置を瞬時に判断して運転する。
運が悪ければ数百メートルの後進を何度も強いられる山道も、
無線の力を借りれば、待機し、バックしなくて済む。

 

お客さんが、
「退避場所で大型車が待ってくれていたのは、なんでだろう?」
と不思議がる。
信号機がなく、携帯電話が繋がらない山中での出来事。
巷では廃れつつある無線を使っているとひらめく人は、そういない。

有事には更に助けとなる。

かつて、チェックイン時間を過ぎても
連絡のつかないお客さんがいた。
家族数台で、県道や林道へと散り散りに探し、
無線で連絡を取りながら見つけることができた。
土砂崩れで集落が孤立した際には
下山できなくなったトラック運転手と無線が繋がり、
ジローのおうちへ避難してもらった。

畑山へ移住して十五年、携帯電話のエリア拡張を求め、
インターネット回線の情報収集にも注力してきた。
昨年末には大手三キャリアが使えるようになった。
インターネット回線もスターリンクに移行し、
Wi - Fi生活を謳歌している。
ただ、電話は有線だし、
衛星は天気に左右され、電源も必要だ。
リスク回避へ、やはり無線は手放せない。
安価で連絡が取りやすいのも魅力だ。
有事が無いことを願いつつ、今日も無線生活を楽しんでいる。

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