高知県の地鶏「土佐ジロー」専門店

はたやま夢楽
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奥山に生きる 2

先月から始めた連載
奥山に生きる~自然とともに、あるがままに~
2回目をジローのおうちやお取り寄せ時に配布しています。

半月が経過しましたので
webでも公開していきます。

ご高覧いただければ幸いです。

六月一日、畑山川の鮎漁が始まった。
例年通り、解禁前夜をジローのおうちで過ごし、
日の出を待って釣り竿を出す太公望もいた。
四万十川や安田川ほどの知名度は無いが、
川の環境や鮎の美味しさに定評がある。
我が家も夫の姿が無いときは、川を探す。


兄弟三人、私の知らぬ間に川遊びの話が進んでいる。
我が息子たちにも伝授して欲しい。
けれど、子どもたちが先に帰宅し、
夫がいつまでも帰って来ない。夏の日常である。

海育ちの私。
夫の気持ちが分からないわけではない。
子どものころは朝から夜まで海にいた。
日焼けで脱皮を繰り返したほどに。
でも、畑山川は勝手が違う。
とにかく冷たい。
全身を水中につけて泳ぐには慣れが要る。
最近は、椅子に腰かけて足だけ浸かる
“チェアリング”で満足。
しばらくの間、クーラー要らずで過ごしている。

これからの季節。夜もまた、楽しい。
クワガタやカブトムシが飛んできて、
窓をノックする。
皆で花火を囲み、最後は線香花火を競う。
灯りが消えるころには、
漆黒の闇に包まれている。
目の前に差し出された手も見えない。
けれど、空に目をやると、
次第に星の瞬きが増してゆく。
星があり過ぎて星座が分からない。
うっすらとある乳白色の帯に気づく。
天の川だ。


「七夕じゃないのに、なんで天の川が見られるの?」


お客さんから尋ねられることが多い。
煌々と輝く都会では、天の川は、
年に一度の織姫と彦星のお伽の世界。
現実のものとも思っていなかった、という。
畑山では、七夕だけでなく、
夏だけでなく、ミルキーウェイを見ることができる。


八月は日本三大流星群のペルセウス座。
お客さんと庭のハンモックに揺られながら、
天体ショーに興じる。
「あ、流れた」「あ、また」。
星が消える瞬間を発見する喜びがある。
どこかの高原ではなく、庭先へ、
ふらり、とサンダルで。
夜露を避け、部屋に戻って、
布団の中から天体ショーの続きを眺める。
「あんな夜空を毎日見てるんですか」。
翌朝のお客さんの感嘆が私の喜び。

一方で、満月の夜は、
“月灯りで本が読める”ほどに明るい。
ひとり遅くまで仕事をしていても、
満月は気分が楽だ。
庭でひとり過ごしても怖くはない。

文系女子、歴女の走りだった私は、
物理や生物が苦手だった。
自然の中で育ったゆえに、
ある程度は理解できても、
学ぶ意欲は乏しかった。
畑山に来て15年。
身を置く環境が、好奇心を養い続けてくれる。
月の満ち欠けを毎日のように
気に掛けるようになった。
宇宙に興味を抱き、星空案内人になるべく講義を受けた。
川や森の環境を学びたいと思うようになった。
自然は癒しを与えてくれるだけでなく、
知識欲もかきたててくれる。
だから、畑山暮らしはやめられない。

3回目の8月号を目下、執筆中です。
楽しみにしていただけると嬉しいです。

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