焼き鳥の奥深い世界
土佐ジロー合宿を開催いたしました。
今回は、やまけんさん(山本謙治さん)が企画をしてくださって
焼き鳥界のレジェンドたちが、遠路はるばる畑山へ来てくれたのでした。
今回の企画ができるまでは、こちらをご覧ください。
(すべての方に、合宿を開催しているわけではありません。)
はたやま夢楽が育てる土佐ジローは
とても特徴的な鶏で
扱いに一工夫いる地鶏です。
ブロイラー(若鳥)の市場流通規模と比べれば
土佐ジローのお肉(雄若鳥)の生産量は、
ほんとうに消えてしまいそうな数字です。
でも、土佐ジローの特徴を生かして料理をしてもらうと
とても美味しい、です。
そのことを知ってもらいたい、と思い続けているところに
やまけんさんが、焼鳥屋さんに来てもらおう!と立ち上がってくださったのでした。
やまけんさんの呼びかけで参加をしてくださったのが
バードコートの野島さん
酉たまの伊澤さん
嘉とうの加藤さん
にし野の西野さん
Bistro g3さん
モンレアーレの鈴木さん
の6名でした。
四国初上陸の方もいる中で
ちょうど日曜日だったので
高知市内の日曜市と、ひろめ市場に寄って畑山へ。
鶏舎見学
やまけんさんの講義
私からのジロー講座
中抜肉からの正肉へ、そして実食
加工場見学
各職人さんの中抜肉からの整形、実食
安芸市の千光士農園さん、土佐備長炭「一(いち)」さんの視察
スープカレー「シェヌー」さんでランチ
土佐あかうしの牧場と、三谷ミートさんの視察
2日間という限られた時間でしたが
初高知を楽しんでいただくべく
ジロー以外にも盛りだくさんな合宿になりました。
昨日の実食では、
加工日別に炭火で焼いて食べてもらいました。
はたやま憩の家での土佐備長炭は、一(いち)さんのものを使わせていただいています。
最初は、靖一さんと私が
それぞれに焼かせてもらって
靖一さんと私の焼き具合の違いも楽しんでもらいました。
こちら側のテーブルでは
加藤さんが、
「触りたくて、焼きたくて、うずうずする」
と言ってくださって
加藤さん自らが焼きをしてくれました。
そしたら、山口さんも。
同じジローなのに
同じ塩味なのに
火入れの違いだけで、こんなに味が変わる?!
というくらい、驚きの違いが出てました。
やまけんさんが、私と靖一さんの焼きで味が違う
と言われていたけれど
そこは、同じ店である程度、同じ焼き方をしているので
さほどには感じてなかったけれど
焼鳥屋さん、ビストロさんでの
焼き方への概念の違いを実感させてもらう好機となりました。
実食の前にあった鶏舎見学では
高知県立ち合いのもと
渡航歴の確認をした後で
防護服に身を包んでいただき
鶏舎外からジローを見ていただきました。
はたやま夢楽では日齢ごとに
土佐ジローの飼料内容を変えて
自家配合での給餌をしています。
飼料内容も確認いただきました。
憩の家では、
やまけんさんの講義もしていただきました。
全国各地で畜産のことも密に取材を重ねていらっしゃる
やまけんさんが、どういう風にジローの可能性を感じているか
お話をいただきました。
土佐ジローは、生産性も悪くて、
これまでの市場流通では
とても難しいところにあります。
飼料代などのコストを考えると
100g800円ですべてが売れたとしても
経営だけを考えればやれることではない、です。
でも、私たちは、
この環境で、畑山で
土佐ジローを鶏らしく育てて
さばき、お客さんに届けたい、
畑山だからできることをやっていきたい、と思っています。
オーガニック認証などは取得していませんが
靖一さんが貫き通してきた「鶏を鶏らしく育てる」ということが
世界的に求められている風潮の中に確かに存在することを
改めて、教えていただいた時間になりました。
一連の合宿の中での、夜の実食だったので
職人さんたちの期待値もピークの中で
焼かせてもらうプレッシャーは
なかなかに凄いものでした。
約3時間かけて焼き続けて
それぞれに味わってもらうことができ
たくさんの学びを、私たちも得ることができた時間でした。
2日目の朝は、土佐ジローの食鳥処理場の見学からスタートをし
野島さんのさばき方実演となりました。
私たち加工者とは別の視点
つまり、焼鳥にすることが前提での
さばき方の実演は、とても新鮮でした。
焼き鳥屋さんで使う場合
どういう風に、食肉加工をして出荷をすればよいか
という視点でも、とても学び多い時間となりました。
私たちはもちろん
参加者の皆さんも、無茶苦茶真剣に
野島さんの手さばきを見つめていました。
そして、実際に串にさして
備長炭で焼いていただきました。
これが、また凄い味でした。
ジローが、こんなに美味しくなるの?!
と、驚かされたのでした。
今日、初めて扱うジローなのに
ジローの旨さを、とても引き出していただいていて
涙ぐむほどの美味しさがありました。
整形の仕方も、焼き方も違っていて
感動する美味しさがありました。
今度は、東京や京都のお店で
こういう研修会をしよう!という話まで
飛び出して、これからも楽しみになりました。
そして、せっかくの機会なので
視察に出かけました♪
安芸市の千光士農園さんへ。
日曜市でも、畑山でも文旦を
見たり、食べたりしていた皆さんですが
千光士さんで食べた文旦や八朔、ポンカンへの
興味の持ち方が、
園地ではグイグイと高まるのを感じました。
備長炭の一さんでは
炭がどういう風に作りあげられているのか
時に危険を伴いながらの重労働の中、
近藤さんがどんな思いで炭を焼いているかという話を
とても熱心に聴かれていました。
二日間の合宿の中で
皆さんに得ていただいたものがあれば有難いです。
私たちは、たくさんのものを学ばせてもらいましたし
丹精している土佐ジローが、喜んでもらえたことが
なによりも嬉しく、今後の糧にもなりました。
繁盛しているお店を休んでまで
生産現場に足を運んでいただくことに
申し訳なさもあったりします。
でも、料理人さんたちとの会話の中で印象的だったのは
「僕たちは、こうして現場に来ることが楽しい」
「こうして作っている人たちと会って、
現場を見ることで、食材への思い入れも深まっていくんです」
と喜んで、今回の合宿に参加してくださっていたことでした。
とても楽しい、
言葉では言い表せない感謝を持って
この二日を過ごすことができました。
ありがとうございました。