ホタルが育つ川。畑山川はどう変わってきたのだろう。―限界集落に嫁いだ元新聞記者が、限界集落になりゆくむらで育った夫に聴く⑦―
畑山の川を眺めて
都会から来た人だけでなく
高知の人でさえ
びっくりする。
透明度の高さ
淵の青さ
水の冷たさ
ここに生きる私たちでさえ
川の情景に
息をのむ瞬間がある。
でも、靖一さんたちは
もっと畑山川が元気だったころを知っている。
圭子:
今でも川は綺麗やと思うけど
昔はもっと良かったって
よく言うでね?
靖一:
そうやねぇ。
平均水位がさがったと思う。
子どものころは、
今よりも30センチは上やったと思うきね。
俺らが飛び込みよった岩とか、
飛び込んだ後で
上るのに使いよった
尖がり岩でみると、
水位は下がったと思う。
川の流れが変わったとか、
別に要因があるかもしれんけど。
圭子:
透明度はどう?
靖一:
水の透明度は、
昔と同じくらいで、
変わらず綺麗やとは思うよ。
おじいが
「川の中でうんこをしても、
イチジョウ(3m)流れたら、
きれいなもんや」
って言いよった。
川に自浄っていうバクテリアの能力があった。
川の体力があったんやろうねぇ。
魚とか川の生物を養う力やったがやろうね。
圭子:
透明度は高いままやけど
川の中の環境は変わっとるって思うが?
靖一:
透明度っていうのは、違わん印象があるがよ。
でも、バクテリアの数が減ったんやろうな。
魚の種類が減ったきね。
ウナギは全国的にも
量が減っちゅうがやろうけんど、
ウナギ以外では、
シマドジョウとか、
ツガニとかね。
カマキリとかっていう
アユカケっていう魚も
まずおらんなったね。
圭子:
どんな魚?
靖一:
保護色というか
擬態するもんやけん、
よっぽどの知識があって、
観察力がないと
よぉ見つけん魚やった。
ここんとこは、俺が川へ入る
機会がのうなったけど、
それまでは年に何回かは
川へ入りよったき。
そのときには既に姿が見えんなっとった。
圭子:
海でいうと
磯焼けって言われるがね。
川も草類が減ったが?
靖一:
青のりに似たようなのが、
川にもあったがよ。
長さで20cmほどの
緑色のコケが
ゆらゆらしよったけど。
今は見なくなった。
何歳かになるくらいまでは、
「青のり」いうのは、
川にあるのをそれだと思いよった。
今も「はたやま憩の家」の
下のところにできるのが、
ほんのちょっとだけあるよ。
アユを追いかけよって、
そんな藻の中に隠れたら、
見失うくらいの現象があったがよ。
1種類だけでなく、
複数のコケがあったと思う。
いいのが生えてたので、
アユも30cm、
体高が5-6cmのアユがおったのに、
今8-9月のアユで
24-5cmのがせいぜいやろうと思うけんど。
圭子:
内子町の石畳は
ホタルの育つ川創りを
官民協働でやりゆうがね。
勉強会も、官民一緒に何回も。
行政は、近自然河川工法で川を創って
住民はホタルの飛来時期や数量とかを
交代で調べたりするが。
畑山に来てから
そういうこともやってみたいなぁって思いよったけど
もう少し先の夢の一つだよねぇ。
でも、いつかそういうこともやれる
地域力を創っていきたいなぁ。